子供たちが独立し、家の中が急に広くなったように感じる今日この頃。
妻と二人、穏やかな日々を過ごせることには感謝しつつも、どこか「変化のない毎日」に物足りなさを感じていました。
そんな折、以前から興味のあった「日本神道」の本を読み、古くからの作法である「柏手(かしわで)」について知る機会がありました。
「運気が上がる」などとも言われますが、決して魔法のような話ではありません。
しかし、実際に毎朝の習慣に取り入れてみると、澱んでいた空気がスッと変わるような感覚を覚えました。
この記事では、50代の暮らしに柏手を取り入れて感じた変化と、その理由について、私の体験を交えてお話しします。
柏手(かしわで)とは何か?神道の視点から考える
そもそも柏手(拍手)とは、神社でお参りをする際に手を打ち鳴らす作法のことです。
神道の考え方では、この音には「場を清める(邪気を払う)」という意味合いがあるとされています。
音による「禊(みそぎ)」
私たち日本人は、音に対して敏感な感性を持っています。
神社の凛とした空気の中で響く柏手の音を聞くと、背筋が伸びるような気がしないでしょうか。
これは、音が空気を振動させ、停滞していた空気を動かすからだと考えられています。
特別な道具もいらず、自分の体一つで場を整えることができる。それが柏手の本来の役割のようです。
なぜ「運気が上がる」と言われるのか
インターネットなどで検索すると「柏手で運気アップ」といった言葉をよく見かけます。
これについて、私はスピリチュアルな奇跡が起きるというよりは、「本人の心のあり方が変わるから」だと解釈しています。
「区切り」をつけるスイッチ効果
運気(運の気)という言葉の通り、「気」は気持ちや気分のことです。
漫然と過ごしていると、昨日の疲れや悩み事をそのまま翌日に引きずってしまいがちです。
そこで「パン!」と乾いた音を鳴らす。
この音が脳への刺激となり、「さあ、今日はここからスタートだ」という明確なスイッチになります。
結果として、前向きな行動が増え、良い結果(運気が上がったと感じること)につながるのではないでしょうか。
50代の暮らしに柏手を取り入れてみた体験談
実際に、私が自宅で柏手を取り入れてみて感じた、ささやかながら確実な変化をご紹介します。
私は神棚を持っていませんが、朝、東の窓を開けて太陽に向かって手を合わせています。
1. 朝の「静寂」が心地よくなる
子供たちがいた頃は、朝といえば戦場のような騒がしさでした。
今は静かすぎて寂しさを感じることもありましたが、柏手を打つようになってからは、その静寂が「整った時間」に変わりました。
手を打った後のシーンとした残響(ざんきょう)を感じる瞬間が、一日のうちで最も心が落ち着く時間になっています。
2. 夫婦の会話が穏やかになった
不思議なもので、自分の心が整っていると、妻に対しても穏やかに接することができます。
「変化がない」と嘆くのではなく、この平穏な暮らしを守ってくれている妻への感謝が、自然と湧いてくるようになりました。
私が機嫌よく過ごしているせいか、妻も以前より笑顔が増えたように感じます。
自宅での柏手の打ち方・作法
「自宅でやって変に思われないか?」と心配される方もいるかもしれませんが、誰かに見せるものではありません。
私が実践している、無理のない範囲での作法をご紹介します。
- タイミング:朝、着替えを済ませた後。
- 場所:リビングの窓際や、自分が心地よいと感じる場所。
- 作法:
- 姿勢を正して軽く一礼する。
- 胸の高さで手を合わせる。
- 右手を少し下にずらす(神と人を区別するためと言われています)。
- パン、パンと二回、いい音が鳴るように打つ。
- 手を合わせて祈る(感謝を伝える)。
- 最後に一礼する。
大切なのは形式よりも、「心を込めて打つ」ことだと感じています。
変化のない毎日に「区切り」をつける
50代、子供の独立、定年へのカウントダウン。
この時期は、どうしても「終わっていくこと」に目が向きがちです。
しかし、柏手という小さな儀式を日常に取り入れることで、毎日を「新しい一日」としてリセットすることができます。
「柏手で宝くじが当たる」といったことはありません。
しかし、「今日も一日、背筋を伸ばして生きよう」という気概を持つことはできます。
その積み重ねが、結果として良い人生(良い運気)を作っていくのかもしれません。
まとめ:音で心を整える習慣
柏手は、日本の文化に根付いた、心を整えるための素晴らしい知恵です。
特別な道具も費用もかかりません。
もし、今の暮らしに少しだけ停滞感を感じているなら、明日の朝、一度試してみてはいかがでしょうか。
乾いた音が響いた瞬間、部屋の空気とあなたの心に、新しい風が吹くのを感じられるかもしれません。
もちろん、合う合わないはあると思います。
ご自身の心地よいと感じるペースで、暮らしの中に取り入れてみてください。
※本記事における「運気」等の表現について
本記事は、筆者の個人的な体験と日本の文化的慣習に基づいた感想です。特定の効果を保証するものではありません。