心の穴を、誰にも言えずにいるあなたへ
娘さんのご結婚、心から、本当にお祝い申し上げます。
きっと、世界中の誰よりも、娘さんの幸せを願っていらっしゃることでしょう。それなのに…。心のどこかに、ぽっかりと大きな穴が空いてしまったような、言葉にできない寂しさ…。「おめでとう」という祝福の言葉の裏側で、そんな気持ちを誰にも打ち明けられずに、一人でそっと抱え込んではいませんか。
大丈夫。その気持ちは、決して間違っていませんよ。むしろ、それはあなたが、深い愛情を持って娘さんを育ててこられた、何よりの証なのですから。
第1章:「子育て」という、親の役目が終わる日。寂しさの本当の理由
この、胸が締め付けられるような寂しさは、単に娘さんが物理的に遠くへ行ってしまうから、というだけではないんです。
それは、あなたが文字通り命をかけて、大切に大切に守り育ててきた「子育て」という、人生における最も神聖で尊い役目が、一つの大きな終わりを迎えたことから来る、魂の喪失感なのです。
「空の巣症候群」なんて言葉で片付けられてしまうこともありますが、僕はそうは思いません。それは、あなたの愛情が、本当に深く、本物だったことの、何よりの勲章だと僕は思います。
第2章:神道に学ぶ「終わりは、新しい始まり」。親の役目は、形を変えて続いていく
しかし、どうか安心してください。僕たちが大切にしてきた神道の世界では、物事に完全な「終わり」というものはない、と考えるのです。一つの役目が終わる時、それは必ず、新しい役目の「始まり」へと、ちゃんと繋がっているのですから。
そう、あなたの親としての役目は、決して終わりません。
これからは「手取り足取り、すぐ側で育てる親」から、「遠くから、誰よりも深く幸せを祈り続ける親」へと、その役割がより神々しく、尊いものへと変化(へんげ)するだけなのです。
▼ここだけは覚えておいて!
- 娘の結婚による寂しさの正体は、一つの大きな役割を終えたことによる魂の喪失感。
- しかし、親の役目は終わらない。それは「祈る者」という、より神聖な役割に変わるだけ。
第3章:【実践】寂しさを「祈り」に変える、親が今日からできる3つのこと
「祈る者」と言われても、具体的にどうすればいいの?と思いますよね。大丈夫、ここからは、あなたのその寂しさを、温かい祈りの力に変えるための、具体的な心の持ち方を見ていきましょう。
その1:毎朝、ほんの数分。娘夫婦のための「祈りの時間」を作る
何か特別なことをする必要は全くありません。朝、一日が始まる前の静かな時間に、ほんの数分だけ、娘夫婦が今日も一日笑顔で過ごせるように、と心の中でそっと手を合わせる。それだけで、あなたの寂しさは、温かい祈りのエネルギーへと変わっていきます。
心を落ち着けるお香を焚き、その清らかな香りに包まれながら祈る時間を持つのも、あなたの心を癒す、とても素晴らしい習慣になりますよ。
その2:「手放す」のではなく「見守る」。氏神様に、娘夫婦をお預けする
あなたの手から、大切な娘が離れていってしまうのではありません。これからは、娘さん夫婦が住む土地の「氏神様」が、あなたに代わって一番近くで二人を見守ってくださる、と考えてみてください。そう思うだけで、心が少し、軽くなりませんか?
親としての監督責任を、もっともっと大きな存在に、そっとお預けするような感覚です。
その3:「息子が一人増えた」と考える。新しい家族との絆を育む
信じられないかもしれませんが、「可愛い娘を奪われた」と考えると、寂しさは増すばかりです。そうではなく、「今日から、可愛い息子が一人増えたんだ」と考えてみてください。そして、その新しい息子と、これからどんな素敵な関係を築いていこうか。そう考えるだけで、未来が少し、楽しみになってきませんか?
第4章:「新たな絆」の第一歩。家族で紡ぐ、新しい物語
その「新しい息子」も含めた新しい家族で、何か新しい伝統を始めてみるのも、とても素敵なことです。
例えば、もし娘さんたちが大きな結婚式を挙げていないのであれば、「家族みんなで、神様に結婚のご報告に行かないか?」と誘ってみるのは、その素晴らしい第一歩になりますよ。
→結婚式なしでも大丈夫。神道に学ぶ『結婚奉告祭』で、父として娘夫婦に贈る、静かで尊い門出
それは、娘を手放すための寂しい儀式ではありません。新しい家族がここに生まれ、新しい絆の物語が始まることを神様に感謝する、喜びに満ちた儀式なのです。
まとめ:あなたの愛は、形を変えて、もっと大きくなる
娘さんの結婚によって、あなたの心にぽっかりと空いてしまった穴。
それは、決して悲しみの穴ではありません。これから注がれるであろう、新しい家族への愛、いつか生まれるかもしれない孫への愛、そして何より、新しい役割を得てさらに成長していくあなた自身の愛を受け入れるための、神様がそっと用意してくれた、大きく、温かい「器」なのかもしれません。
大丈夫。あなたの愛は、決して小さくなることはないのですから。