お祝いしたい気持ちと、お金の不安。親の「正直なホンネ」
娘さんのご結婚、本当に、心からおめでとうございます。
「おめでとう!できる限りのことは、何でもしてあげたい!」その気持ちに、一点の曇りもないはずです。その一方で、ふとした瞬間に「でも、正直なところ、お金のことって…どうなるんだろう…?」という、とても現実的な不安が頭をよぎる…。
親として、それはあまりに当然の気持ちです。決して、はしたないことではありません。この記事は、あなたのその真面目で誠実な不安を、確かな「安心」に変えるための、お金の羅針盤です。一緒に、一つずつ見ていきましょうね。
第1章:なぜお金の話は不安なのか?それは「相場」と「正解」が分からないから
この、心の中に立ち込めるモヤモヤとした不安の正体。それは、大きく分けて2つあります。
一つは、「そもそも神前式の費用の全体像が分からず、親としていくら援助するのが一般的なのか、という“相場”が分からない」という知識への不安。
そしてもう一つは、「お金の話がきっかけで、これから長い付き合いになるお相手の御両親と、ギクシャクしてしまったらどうしよう…」という、人間関係への不安です。
大丈夫。まずは、敵の正体、つまり費用の全体像をしっかりと把握することから始めましょう。それが分かれば、驚くほど冷静になれますから。
第2章:【全体像】神前式にかかる費用、その「すべて」を分解します
では早速、一体何にいくらくらいかかるのか、神前式にかかる費用の主な内訳を一つずつ見ていきましょう。漠然とした不安が、具体的な数字に変わるだけで、心はずっと軽くなりますよ。
① 神社に納める「初穂料(はつほりょう)」
神様へのご祈祷に対する謝礼です。神社の格式や場所によって様々ですが、相場は5万円~15万円程度と考えておけば、大きなズレはないでしょう。
② 新郎新婦の「衣装代」
白無垢や色打掛、そして紋付袴のレンタルが一般的です。選ぶ衣装のグレードによりますが、二人分で15万円~30万円程度を見ておくと安心です。
③ 美容・着付け代
新婦様のヘアメイクと着付け、そして新郎様の着付け代です。合計で5万円~10万円程度が相場となります。
④ 写真・映像撮影代
プロのカメラマンに依頼する場合の費用です。スナップ写真のみか、映像も撮るのか、どこまでお願いするかで大きく変わりますが、5万円~20万円程度が目安です。
⑤ 親族の衣装代・着付け代
ご両親が留袖やモーニングをレンタルしたり、着付けをお願いしたりする場合の費用です。これも必要に応じて計上しましょう。
⑥ 挙式後の「会食会」の費用
食事と飲み物の代金 × 参加人数分です。一人あたり1万円~2万円が相場なので、ここが参加人数によって一番大きく変動する費用になります。
第3章:【親の援助】「いくら包む?」世間のリアルな相場と3つの考え方
さて、ここからが一番気になるところですよね。親として、どのくらい援助するのが一般的なのでしょうか。
ある調査では、親からの結婚資金の援助総額は「100万円~200万円」が最も多いというデータがありますが、これは披露宴なども含めた全体の金額です。神前式と会食会だけであれば、もう少し現実的な金額になります。
ただ、何より大切なのは、金額そのものよりも「どういう考え方で援助するか」です。代表的な3つの考え方をご紹介しますね。
考え方1:費用の「一部」を具体的に負担する
「白無垢の衣装代だけは、親からの贈り物として出させてね」というように、特定の項目を具体的に援助する形です。金額が明確で、贈る側も受け取る側も分かりやすいのがメリットです。
考え方2:「お祝い」として、まとまった額を渡す
使い道は二人に完全に任せる形です。「結婚のお祝いとして」と、100万円などキリの良い額を渡し、この中でうまくやりくりしてね、と託す方法。子供たちの自主性を尊重できます。
考え方3:子供たちの意向を尊重し、大きな援助はしない
「自分たちの貯金で、自分たちらしい結婚式を挙げたい」という、しっかり者の子供たちの自立心を尊重するのも、また立派な愛情の形です。その場合は、ご祝儀として10万円~30万円程度を包むのが一般的です。
第4章:【両家の分担】揉めないための「円満ルール」と切り出し方
親の援助と同じくらい、いや、それ以上にデリケートで重要なのが、両家の費用分担です。ここで揉めてしまうと、後々まで響いてしまいます。そうならないために、代表的な3つの円満ルールを知っておきましょう。
▼代表的な3つの分担ルール
- ルール1:両家で「きっちり折半」する:総額を単純に2で割る、最もシンプルで分かりやすい方法です。
- ルール2:「招待客の人数割り」で負担する:会食会の費用など、両家で招待客の人数に差がある場合に、最も公平感のある方法です。
- ルール3:「項目ごと」に分担する:「新婦側の衣装や美容代は新婦側で」というように、項目別にどちらが持つかを決める方法です。
そして、一番大切なことをお伝えします。それは、お金の話を子供たち任せにせず、両家の親同士が事前に顔を合わせ、オープンに話し合う機会を持つことです。
「お金の話で大変恐縮なのですが、今後のためにも、一度ご相談させていただけますでしょうか」と、こちらから謙虚に、そして誠実に切り出すのが、円満な話し合いへの一番の近道ですよ。
また、最近は友人にも参列してもらうような、自由なスタイルの神前式も増えています。そういった場合、会食の費用なども変わってきますので、まずは子供たちがどんな式をしたいのか、その意向をしっかり聞いてあげることも大切ですね。
まとめ:お金の不安を解消して、心からの「おめでとう」を伝えよう
いかがでしたか?費用の全体像と、援助や分担の様々なパターンを知るだけで、漠然としていた不安が「じゃあ、我が家はこういう形で協力してあげようか」という、前向きで具体的な計画に変わったのではないでしょうか。
お金の話は、決してタブーではありません。むしろ、これから新しい一つの家族となる両家が、お互いを思いやり、尊重し合うための、最初の素晴らしい共同作業なのです。
さあ、お金の不安は綺麗に解消して、世界で一番の「おめでとう」を、大切な娘さんに伝えてあげてください。