ふと気になった「神楽鈴」の音。その本来の意味とは
「シャン…シャン…」
神社の巫女さんが舞う時に手にする、あの独特な形の鈴。一般的には「巫女鈴(みこすず)」とも呼ばれますが、正式には「神楽鈴(かぐらすず)」という名前があることをご存じでしょうか。
なんとなく部屋の空気が重いと感じていた時、ふとあの清らかな音色を生活に取り入れたいと思ったのがきっかけでした。しかし、ただの楽器としてではなく、古くから伝わる道具としての「意味」を知ると、その音色はより深く心に響くようになります。
「神楽鈴」と「巫女鈴」の違いと共通点
結論から言うと、この二つは基本的に同じものを指しています。神楽舞(かぐらまい)という神事の舞で使われる鈴であることから「神楽鈴」と呼ばれ、それを巫女さんが持つことから「巫女鈴」とも呼ばれるようになりました。
鈴の音には、古くから「場を清める力」や「神様をお招きする合図」としての役割があると信じられてきました。涼やかな音色が空気を振動させることで、淀んだ気配を払い、新しい空気を呼び込む。そんな「見えない掃除機」のような役割を担ってきた道具と言えるかもしれません。
形に込められた「五穀豊穣」と「七五三」の由来
神楽鈴をよく見ると、鈴が3つの段に分かれて付いていることに気づきます。実はこの鈴の数には、明確な意味があると言われています。
- 上段:3個
- 中段:5個
- 下段:7個
合計で15個(または柄の先端を含めて違う解釈もありますが)、この「3・5・7」という数字は、子供の成長を祝う「七五三」と同じく、縁起の良い数字の並びです。
また、鈴の形そのものが「稲穂」を模しているという説もあり、これには「五穀豊穣(ごこくほうじょう)」、つまり実り豊かな生活への願いが込められています。単なる楽器ではなく、あの形そのものが「幸運が実る姿」を表しているのです。
神楽鈴の値段はピンキリ。自宅用としての選び方
その意味を知ったうえで、いざ自宅用に探してみると、値段の幅広さに驚かされます。1,000円台から数万円以上するものまで様々です。
1,000円台のお土産用と、本職用の違い
価格差の主な理由は「素材」と「作り」です。
- 手頃な価格帯(~3,000円前後):お土産品や舞の稽古用として作られています。軽量で扱いやすく、音は軽やかで高め。見た目の華やかさを楽しむには十分です。
>>Amazonで手頃な巫女鈴の値段を見てみる - 本格的な価格帯(10,000円~):本職の神事で使われるものは、真鍮(しんちゅう)などの金属が厚く、持ち手も木製や漆塗りなどこだわりがあります。音色は重厚で、余韻が長く響きます。
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高価なら良いわけではない。「自分に響く音」が正解
「高い鈴でないと効果がないのでは?」と思うかもしれませんが、私はそうは思いません。大切なのは値段よりも、「自分がその音を聞いて、心地よいと感じるか」です。
どれだけ高価でも、音が大きすぎて耳障りに感じてしまっては逆効果です。毎日鳴らすものだからこそ、自分の生活空間に馴染む音、そして愛着を持って大切に扱えるものを選ぶのが正解だと感じています。
実際に部屋で鳴らしてみた体験談
私は結局、自宅の広さに合わせて、音が大きすぎない手頃なサイズの神楽鈴を選びました。実際に使ってみて感じた変化をお話しします。
意味を知って鳴らすと、空気がより「凛」とする
ただ「いい音だな」と思って鳴らすのと、「これは実りを呼ぶ音だ」「場を清める音だ」と知って鳴らすのとでは、心の持ちようが全く違いました。
窓を開け、部屋の中心で鈴を振ると、シャンシャンという音が部屋の隅々まで行き渡ります。その音が消えた後の静寂が、以前よりも「凛」として感じられるのです。仕上げにお香を焚くと、視覚・聴覚・嗅覚のすべてで「リセットされた」という実感が湧き、不思議と背筋が伸びる思いがしました。

朝と夜、鳴らすタイミングで変わる心持ち
私は朝と夜、それぞれ違うイメージを持って鳴らしています。
- 朝:「今日も良い実りがありますように」と、ポジティブな空気を呼び込むイメージ。
- 夜:「一日お疲れ様」と、外から持ち帰った重さを払い落とすイメージ。
この習慣ができてから、オンとオフの切り替えがスムーズになりました。神棚に国産の榊を供えるのと同じように、自分の心の中に「区切り」を作る大切な儀式になっています。
音だけではない「場」を整える工夫
神楽鈴の「意味」を大切にするようになると、自然と他の環境にも目が向くようになりました。「場」を整える方法は、音だけではありません。
寝室の環境を見直してみる
一日の疲れを癒す寝室も、自分を整える重要な場所です。以前、寝る際の方角について調べたことがあります。「北枕は縁起が悪い」など諸説ありますが、実は方角によって地球の磁場との関係などが語られることもあり、奥が深い世界です。
気になる方は、一度寝室の配置を見直してみるのも良いかもしれません。物理的な配置を変えるだけで、気分が大きく変わることもあります。
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置くもの、身につけるものを少し変えてみる
鈴の音で空間を清めるように、物理的に「清め」のアイテムを置くのもおすすめです。例えば、古くから穢れを払うとされる塩(盛り塩)を玄関に置くのも、日本の美しい習慣の一つです。
また、神楽鈴の近くに木製のフォトフレームを置いて、家族や大切な思い出の写真を飾るようにしました。「守りたいもの」を可視化することで、鈴を鳴らす時の祈りがより具体的になる気がしています。
まとめ|魔法ではないけれど、意味を知れば「音」は深まる
神楽鈴(巫女鈴)を買ったからといって、魔法のように運命が変わるわけではありません。しかし、その形に込められた「五穀豊穣」や「清め」の意味を知り、生活の中で意識的に音を鳴らすことは、自分自身を大切に扱うことにつながります。
忙しい毎日に流されそうになった時、あの「シャン…」という音が、立ち止まるきっかけをくれます。
もしあなたも、日常に静かな変化を求めているなら、まずは手頃な神楽鈴を手に取ってみてください。その澄んだ響きが、あなたの心を整える心強い味方になってくれるはずです。