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なぜ天皇は、毎年みずからお米を作り、祈り続けるのか?古事記から読み解く「五穀豊穣」と日本人の魂のカタチ。

開運
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皇居の一角に佇む「水田」。そこに秘められた、日本国の原点

日本の中心、皇居。その一角に、近代的なビル群とはまるで別世界のように、静かに水が張られた田んぼが存在することをご存知でしょうか。
そして、この国を象徴する存在である天皇陛下が、毎年春になると自ら田に入り、苗を植え、秋にはその稲を刈り取るという営みを、今なお続けていらっしゃるという事実を。

なぜ、世界最先端のテクノロジー国家・日本の元首が、これほどまでに原始的とも言える「稲作」を、自らの手で行い続けるのか。
これを単に「古くからの伝統だから」と一言で片付けてしまうと、私たちは、この国が二千年以上にわたって何を大切にしてきたのか、そして自らの精神的なルーツがどこにあるのかという、本質を見失ってしまうかもしれません。

この尊い営みに秘められた意味を解き明かすことは、神話の時代にまで遡り、日本人の「魂のカタチ」そのものを探る、壮大な知的冒険への扉を開くことなのです。

神話のなかの「五穀豊穣」:天照大御神が下した、最初の神勅

全ての物語は、日本の神話体系を記した『古事記』から始まります。
天上世界「高天原(たかまのはら)」を治める最高神、天照大御神(あまてらすおおみかみ)。彼女は、葦の葉が生い茂る地上世界を、孫である邇邇芸命(ににぎのみこと)に治めさせることを決意します。これが世に言う「天孫降臨」です。

その際、天照大御神は、邇邇芸命に三種の神器と共に、高天原で育てた神聖な「稲穂」を授け、こう告げました。
「この稲穂を育て、豊葦原の千五百秋の瑞穂の国(とよあしはらのちいおあきのみずほのくに=日本の美称)を、安らかに治めなさい」と。

これは、驚くべき事実を示しています。日本という国における「統治」の原点は、武力や権力による支配ではなく、民を飢えさせないこと、すなわち「稲作を成功させ、豊かな食料を確保すること」であると、神話の時点で明確に定義されていたのです。
国を治めることと、五穀豊穣を祈ることは、最初から分かちがたく結びついていた。これが、私たちの国の始まりでした。
天照大御神から稲穂を授かる邇邇芸命の神話画

天皇の「祈り」の核心:新嘗祭(にいなめさい)に込められた意味

天照大御神の神勅は、単なるお話としてではなく、現実の儀式として現代にまで受け継がれています。その核心が、毎年11月23日に行われる宮中祭祀、「新嘗祭」です。

新嘗祭とは、その年に収穫された新米(初穂)を、天皇陛下がまず天神地祇(てんじんちぎ=すべての神々)にお供えし、そのお下がりとして、自らも食する、という極めて神聖な儀式です。
この儀式の本質は、神様と人が同じものを食べる「神人共食(しんじんきょうしょく)」にあります。これにより、稲に宿る生命エネルギーを神々と共に体内に取り込み、生命力を更新し、国家国民の安寧を祈るのです。

つまり、天皇陛下が皇居の水田で行う稲作は、単なる農作業のパフォーマンスではありません。この国で最も重要とされる祭祀、新嘗祭に捧げるための神聖な稲を、神勅を受けた最高責任者として、自らの手で、魂を込めて育てるという、祈りのプロセスそのものなのです。
宮中祭祀・新嘗祭の厳かな儀式の様子

全国に広まった「稲作」という名の信仰

この「稲作の成功こそが共同体の平和の礎である」という思想は、決して宮中だけの特殊なものではありませんでした。それは、日本全国の隅々にまで広まり、人々の信仰のカタチを決定づけていったのです。

古代社会において、米の収穫量は共同体の存続そのものを意味しました。だからこそ、日本各地の「祭り」は、春には豊作を祈り(祈年祭)、秋には収穫を感謝する(新嘗祭)という、五穀豊穣の祈りを中心に組み立てられていきました。私たちに馴染み深い、お稲荷様(宇迦之御魂神)や、それぞれの土地を守る氏神様も、その多くが豊作を見守る存在として、篤い信仰を集めてきたのです。

この国家規模の壮大な祈りの思想は、驚くべきことに、形を変えながら現代に生きる私たちの「個人的な願い」の中にも、ちゃんと息づいています。
例えば、若い女性がキャリアアップを願って神社を訪れる行為。これも見方を変えれば、自分の努力という「種」が、社会の中で正当に評価され、豊かな「実り」となることを祈る、現代版の『五穀豊穣祈願』と言えるのかもしれませんね。
参考記事:縁結びだけじゃない!キャリアアップしたい女子が本当に参拝すべきは「五穀豊穣」の神様でした。ご利益がスゴい都内の神社、教えちゃいます。

まとめ:一粒の米に宿る、日本人の宇宙観

天皇陛下が、今なお皇居で稲作を続けられる理由。それは、単なる伝統儀式の継承という言葉だけでは到底説明しきれない、深い意味を持っていました。

▼ここだけは覚えておいて!

  • 日本の統治の原点は、神話の時代から「五穀豊穣(民を飢えさせないこと)」にあった。
  • 天皇の稲作は、最重要祭祀「新嘗祭」に繋がる、国民の安寧を祈る行為そのものである。
  • 「五穀豊穣」の祈りは日本全国に広まり、我々の精神性の根幹を形作ってきた。

それは、神話の時代から続く「国民の安寧を祈る」という、この国の為政者の根本的な使命を体現する、生きた儀式なのです。「五穀豊穣」という一見古風な言葉の奥には、「自然への畏敬と感謝」「生命の循環」「共同体の平和」といった、日本人が二千年以上かけて育んできた精神性、すなわち「魂のカタチ」が、色濃く刻まれています。

次にあなたが、食卓で真っ白なご飯を口にする時。その一粒一粒に込められた、日本の始まりへと続く、壮大な物語に、ほんの少しだけ思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

もし、このような古代の叡智や宇宙観に、さらなる興味を惹かれたのであれば、神話よりもさらに古い時代に日本に存在したとされる「カタカムナ」の文献を探求してみるのも、あなたの知的好奇心を満たす、新たな冒険となるかもしれません。

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