特別な日には、最高のおもてなしを
毎日のお水やお米に加えて、神棚に「お神酒(おみき)」が上がっている光景は、どこか晴れやかで背筋が伸びるものです。
しかし、普段お酒を飲まない家庭や、神棚初心者の場合、「どんなお酒を選べばいいのか」「いつ上げればいいのか」と迷ってしまうことも多いのではないでしょうか。
この記事では、神様へのお酒の選び方とお供えするタイミング、そしてよくある疑問である「蓋の扱い」について整理します。お神酒をお供えすることは、淡々とした日常に「ハレ(非日常)」の区切りを作る、素敵な儀式になります。
お神酒は「神様と人を繋ぐ」潤滑油
お酒は、古来より神事と密接に関わってきました。お米を発酵させて作る日本酒は、神様の恵みが凝縮された聖なる飲み物であり、同時に人々の心を解きほぐし、神様との距離を近づける役割があると考えられています。
お神酒をお供えすることは、単なる形式ではありません。「美味しいものを一緒に楽しみましょう」という、神様への親愛と感謝の情表現です。
また、アルコールの揮発する香りは、空間の邪気を払うとも言われます。お酒を上げる日の朝、部屋の空気が少しキリッとして感じるのは、気のせいではないかもしれません。
お神酒を準備するための視点
▼ここだけは覚えておいて
- 基本は「日本酒(清酒)」を選ぶ
- お供え中は「蓋を開ける」のが基本
焼酎やワインをお供えする地域もありますが、基本はお米から作られた「日本酒(清酒)」です。高価な大吟醸である必要はありません。醸造アルコールが含まれていても構いませんが、「米と米麹」だけで作られた純米酒を選ぶと、より丁寧な印象になります。

頻度とタイミングの目安
毎日上げるのが理想ではありますが、管理が大変であれば無理をする必要はありません。一般的なタイミングは以下の通りです。
1. 毎月「1日」と「15日」
神社の祭事に合わせて、月の始まり(1日)と真ん中(15日)にお供えするのが最もポピュラーな習慣です。月2回なら、忘れずに続けやすいペースと言えるでしょう。
2. 家族の記念日やお正月
誕生日、結婚記念日、お正月、受験の合格など、家の中で「おめでたいこと」があった時にお供えします。嬉しい報告を神様と共有するような気持ちで行います。
3. いただきものをした時
美味しいお酒をいただいた時、自分が飲む前にまず神棚にお供えします。「お福分け」の精神です。

お供え中の「蓋」と下げた後の活用
お神酒を入れる白い陶器を「瓶子(へいし)」と呼びますが、お供えしている間、その蓋はどうすればよいのでしょうか。
基本は「開けて」香りを届ける
神様は香りや湯気を召し上がると言われています。そのため、お供えして手を合わせている間は、蓋を取っておくのが基本です。
ただし、一日中開けっ放しにすると埃が入ったり、アルコールが飛んでしまったりします。お参りが終わったら蓋を閉めるか、または午前中だけ開けておき、お昼には下げるなど、柔軟に対応して構いません。
下げたお酒はお風呂へ
お神酒は、下げた後にいただく(飲む)のが一番の供養ですが、お酒が苦手な方や、朝から飲むわけにいかない場合もあります。
そんな時は、料理酒として使うか、「お風呂に入れる(日本酒風呂)」のがおすすめです。お神酒のパワーで体が温まり、穢れを洗い流す贅沢なバスタイムになります。
お風呂でのリラックス効果を高めるなら、寝室環境も見直して、一日の疲れをトータルでケアしてあげましょう。
美しい器で心を整える
お神酒をお供えする際、対の瓶子(へいし)がきれいに並んでいる姿は美しいものです。もし器が汚れていたり、欠けていたりするなら、新調するのも良い機会かもしれません。
🙆♀️ 🙆♀️ 向いていると感じる人
- 月2回の習慣を大切にしたい
- きちんとした作法を身につけたい
- 神棚の見た目を整えたい
🙅♀️ 🙅♀️ 向かないと感じる人
- お酒の管理が面倒だ
- 器を洗う手間を増やしたくない
- 形よりも気持ち重視だ
まとめ
お神酒は、神様への「お疲れ様です」「ありがとう」という労いのメッセージでもあります。
毎月1日、新しいお酒の封を切り、トクトクと器に注ぐ音とお酒の香りに包まれる。そのわずかな時間が、忙しい一ヶ月を乗り切るための、心のスイッチを入れてくれるはずです。