「包む」という行為に心を込める
日々の生活に区切りをつけるため、あるいは感謝を伝えるために、神社でご祈祷を受けたり、少し多めのお賽銭を納めたりすることがあるかもしれません。
そんな時、財布から直接お金を取り出すのではなく、封筒やのし袋に包んでお供えすることは、神様に対する奥ゆかしい敬意の表現です。
「書き方はこれで合っているのか」「失礼があったらどうしよう」と不安になって緊張してしまうのはもったいないことです。この記事では、神事におけるお金のマナーについて整理します。作法を知ることは、自信を持って神様と向き合うための第一歩です。
なぜ、そのまま出してはいけないのか
本来、神様へのお供えは、その年に収穫されたお米や農作物(=初穂)でした。貨幣経済の発達とともに、お米の代わりにお金を供えるようになりましたが、「これはお米の代わりです」という意味を込めて、紙に包んで渡すのが礼儀とされています。
これを「裸銭(はだかせん)を避ける」と言います。お賽銭箱に小銭を投げる場合はそのまま構いませんが、社務所でご祈祷を申し込む際や、特別なお供えをする際は、封筒に入れるのが大人のマナーです。
手間をかけて包むというプロセスそのものが、日常の買い物とは違う「神聖な行為」への切り替えスイッチとなり、心の姿勢を正してくれます。
準備のための視点
▼ここだけは覚えておいて
- ご祈祷などのお祝い事は「紅白の蝶結び」
- お札はできるだけ「新札」を用意する
蝶結びは「何度あっても良いこと」に使われます。ご祈祷や厄払いは何度繰り返しても良いことなので、結婚式用の「結び切り」と間違えないようにしましょう。また、新札を用意することは「あなたのために前もって準備しました」という敬意の表れです。

今すぐ確認できる書き方と入れ方
いざ筆を執る時に迷わないよう、基本的なルールを3つに絞ってご紹介します。
1. 表書きは「初穂料」が万能
水引の上段(中央上)には、「初穂料(はつほりょう)」または「玉串料(たまぐしりょう)」と書きます。お守りやお札を受ける際や、ご祈祷など、神道全般で使えるのは「初穂料」です。
下段(中央下)には、祈祷を受ける人のフルネームを書きます。読みやすい楷書で書くことが大切です。
2. お札の向きを揃える
中袋にお金を入れる際は、お札の肖像画が「表(封筒の表側)」「上(封筒の上側)」に来るように入れます。封を開けた時に、肖像画と目が合うような向きです。
これは「顔を向けて挨拶する」という意味にも通じます。お金の向きを整えることは、気の流れを整えることにも似ています。
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3. ふくさ(袱紗)に包んで持参する
のし袋をそのままバッグに入れると、端が折れたり汚れたりする可能性があります。ふくさに包んで持ち運び、受付で取り出して渡すのがスマートな所作です。ふくさがない場合は、きれいなハンカチで代用しても構いません。


「祈祷」の力を生活に取り入れる
神社に足を運び、作法に則ってご祈祷を受けることは素晴らしい体験ですが、忙しくて時間が取れない、あるいは対面での手続きにどうしても緊張してしまうという方もいるかもしれません。
もし、「運気を変えたい」「守られたい」という気持ちが強いのであれば、専門家によって祈祷されたものを手元に置くという選択肢もあります。
🙆♀️ 🙆♀️ 向いていると感じる人
- 格式や伝統的な作法を重んじる
- 神社に行くこと自体が好き
- 自ら動いて区切りをつけたい
🙅♀️ 🙅♀️ 向かないと感じる人
- 作法を間違えるのが怖い
- 遠出する時間が取れない
- 手軽に安心感を得たい
まとめ
お賽銭や初穂料の封筒の書き方に、過度な完璧さを求める必要はありません。最も大切なのは、神様に対して礼を尽くそうとする「心遣い」です。
少しの手間をかけて新札を用意し、丁寧に文字を書く。その静かな準備の時間が、淡々とした日常の中に神聖な空気を呼び込み、あなたの心を豊かにしてくれるはずです。