悲しみの中で、神様とどう向き合うか
大切な家族を見送った後、悲しみに暮れる間もなく、葬儀や手続きに追われることになります。その中でふと気になるのが、家にある「神棚」の扱いです。
「いつまで隠しておけばいいのか」「お正月のお札は交換してもいいのか」。日常とは違う作法に戸惑い、不安を感じることは当然のことです。
この記事では、ご不幸があった際の「神棚封じ」の手順と、再開のタイミングである「忌明け(きあけ)」について整理します。特に迷いやすい年末年始の対応も含め、正しいマナーを知ることで、心の負担を少しでも軽くしてください。
「忌中」と「喪中」の違いを整理する
神棚の扱いを理解するには、まず「忌中(きちゅう)」と「喪中(もちゅう)」の違いを区別する必要があります。
「忌中」は、故人が亡くなってから50日間(仏教では49日間)を指します。神道において「死」は「穢れ(けがれ=気枯れ)」とされ、この期間は神様に穢れを移さないよう、神棚を封じてお祀りを中断します。
一方、「喪中」は一周忌までの約1年間を指します。これは残された家族が故人を偲ぶ期間であり、穢れの期間は過ぎているため、神棚のお祀りは再開しても問題ありません。
つまり、神棚を封じる必要があるのは、最初の50日間(忌中)だけです。これを混同して、1年間ずっと神棚を封じたままにしてしまうケースも多いので注意が必要です。
神棚封じと再開の視点
▼ここだけは覚えておいて
- 封じるのは「第三者」に頼むのが正式
- 再開は「五十日祭(忌明け)」の翌日から
神棚封じは、穢れのない第三者(葬儀社の方や親戚など)に行ってもらうのが理想ですが、現代では難しければ家族が行っても構わないという柔軟な考え方が一般的です。形式よりも「神様への配慮」を示す姿勢が大切です。

今すぐ確認すべき行動とマナー
具体的な手順や、時期によって異なる対応について解説します。
1. 神棚封じの手順
まず神棚に挨拶をし、「しばらくお休みします」と断りを入れます。お供え物(米・塩・水・榊)をすべて下げ、神棚の扉を閉めます。その上から白い半紙をテープなどで貼り、中が見えないようにします。これで封じは完了です。
2. 忌明け後の再開手順
50日(または49日)が過ぎて忌明けを迎えたら、貼っていた半紙を剥がします。神棚を軽く掃除し、新しいお供え物を上げて、通常のお祀りを再開します。この時、改めて「無事に忌明けしました」と報告すると良いでしょう。
忌明けは、家族にとっても一つの区切りです。このタイミングで寝室などの生活空間も整え、少しずつ日常のリズムを取り戻していくことをおすすめします。
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3. 年末年始・お正月の対応
もし年末年始に「忌中」が重なっている場合、お正月飾り(門松・しめ縄・鏡餅)は一切行いません。初詣も控えます。神棚のお札の交換も、忌明けまで延期します。
「喪中」であっても(忌明け後なら)、派手なお祝い事は控えますが、神棚のお札を新しくすることや、静かに神社へお参りすることは問題ありません。ただし、鳥居をくぐる際は端を歩くなどの配慮をするのが奥ゆかしいマナーとされます。

心を鎮める香りを取り入れる
忌中や喪中の期間は、心身ともに疲れが出やすい時期です。神棚へのお祈りを休んでいる間、故人を偲ぶため、あるいは自分自身の心を落ち着かせるために、良質な「香り」を利用するのも一つの知恵です。
🙆♀️ 🙆♀️ 向いていると感じる人
- 静かに故人を偲びたい
- 香りで気持ちを切り替えたい
- 伝統的な供養を大切にする
🙅♀️ 🙅♀️ 向かないと感じる人
- 煙や香りが苦手
- 完全に無宗教である
- 今は何も考えたくない
まとめ
神棚封じは、神様を遠ざけることではありません。「今は悲しみで心が枯れているので、少しだけお休みをいただきます」という、神様への誠実なメッセージです。
期間や作法を守ることも大切ですが、何より重要なのは、残されたあなたが無理をせず、ゆっくりと悲しみを癒やしていく過程そのものです。忌明けを迎え、再び神棚に手を合わせる日が来た時、きっと以前よりも深く穏やかな気持ちで日常に向き合えるはずです。